帰郷

 

さようなら、たずさえた夢とひきかえに

ホームに残した友の顔 思い出す

影絵のように 街並みが

浜辺や木立が 窓に流れた日

 

いつの日か降り立ちたい故郷への想いは

決して忘れることは ないけれど

ひかりのなかで ぼくたちは

目を眩ませてばかり

 

もう どれくらい 輝き手にしたら

もう どれくらい 笑顔をつくれたら

下りの最終列車が

また今日も 見送られる

 

ありがとう、日々の暮らしに押し込めた

伝えたいはずの 心だけが急ぐ

大きな背中に 肩車 賑やかな食卓 

窓にさしこむ夕陽

 

ただいまって立派になって帰りたい気持ちは

一度も忘れたことはないけれど

ひかりのなかで ぼくたちは

目を眩ませてばかり

 

あと どれくらい 前に進めたら

あと どれくらい 大きくなれたなら

出せない手紙が

また高く 積み上がる

 

もう どれくらい 輝き手にしたら

もう どれくらい 笑顔をつくれたら

下りの最終列車が

また今日も 見送られる